「優しく声をかけるほど、息子のかんしゃくがひどくなるのはナゼ?」(4歳男児ママより)
📮 ママ友ドクターからの手紙 ── Vol.23──
「優しく声をかけるほど、息子のかんしゃくがひどくなる…」(4歳男児ママより)
朝晩の風に、ようやく秋の気配を感じるようになりましたが、連日の雨!東京は34日連続降雨で最長記録だとか。夏の疲れがどっと出始めたころにシルバーウイーク。今週は子どもたちの夕方のぐずりも、なんだか増えていませんか?
今日のお手紙は、「かんしゃく」をめぐるお話。優しく声をかけているのに、なぜかヒートアップしてしまう…そんなママからのご相談です。
ゆみ先生へ
はじめてお手紙を書きます。4歳の息子のママです。
息子は言葉がゆっくりで、3歳児健診で発達特性を指摘され、いまは週1回、個別療育に通っています。診断がつくのかどうかは、まだ分かりません。
最近、かんしゃくが目に見えて増えました。とくに夕方、床にひっくり返って泣き叫び、30分以上続くこともあります。
療育の先生に「気持ちに共感してあげてくださいね」と言われたので、「眠いんだよね?」「あれが欲しかったの?」「どうしたの、何が嫌だったの?」と、できるだけ優しく声をかけるようにしています。
でも、声をかければかけるほど、息子の泣き声は大きくなっていくんです。
スーパーでお菓子を買わないと泣き続けて、周りの目に耐えられず、結局買ってしまったことも一度や二度ではありません。
共感しているつもりなのに、何が間違っているのか分からない。私の関わり方が悪いから、息子はこんなに荒れるのでしょうか。毎日、夕方になるのが怖いです。
りえ より
りえさんへ
お手紙、ありがとうございます。
まず最初に、これだけは伝えさせてください。
息子さんが荒れた態度になるのは、必ずしもママを困らせたいからではありません。
療育の先生のアドバイスを素直に受け取って、ひっくり返って泣く息子さんに、毎日毎日、優しく声をかけ続けている。それって本当にすごいことです。ちゃんと頑張っているからこそ、「こんなにやっているのに、なんで?」と苦しくなるんだよね。
実は先日、りえさんとよく似たご相談を、個別コンサルでお受けしました。同じく4歳の男の子で、言葉がゆっくりさん。ママが撮ってくれたかんしゃくの動画を一緒に見ながら、私はあることに気がつきました。
ママの声かけは丁寧で、とても優しい。なのに、お子さんはどんどんヒートアップしていく。
理由はシンプルでした。
共感のつもりが、クエスチョンになっていたんです。「~~なの?」「~~じゃないの?」「~~したいのね?」etc.
このお話はあとでゆっくりするとして、その前に、かんしゃくの「見分け方」からお伝えさせてくださいね。
かんしゃくには「3つの理由」がある
私の子育て相談の合言葉は、いつも同じです。
子どもの行動には、必ず理由がある。
かんしゃくも同じ。「泣いて暴れている」という見た目は同じでも、その奥にある理由はまったく違うことがあります。だから私は、行動ではなく「理由」で、かんしゃくを3つに分けて考えます。
すると対応は驚くほどクリアになります。ときには、真逆にさえなるんです。
① からだ由来のかんしゃく ──「さっさと取り除く」
眠い、お腹がすいた、疲れた、暑い、病み上がり。りえさんの息子さんのかんしゃくが夕方に集中しているなら、まずここを疑ってみてください。
このタイプに必要なのは、話し合いでも共感の言葉でもありません。原因をさっさと取り除くことです。
眠くてグズグズなら、外遊びしてないような日はお風呂はキャンセルして寝室へ直行でいいかも。子どもは真夏でなければ、1日2日お風呂に入らなくても臭くなりません(本当です)。「ちゃんと整える」より「思い切って削る」。それも立派な対応です。
空腹のイライラには、あまいお菓子とかブドウ糖1つ。糖分は口に入れた瞬間から吸収が始まるので、数十秒で機嫌が戻ることもあります。先日、お昼を待たせてぐずぐずの嵐になった我が家の1年生にアメを1粒あげたら、あっという間にご機嫌に。「お腹すいてるときって、アメ玉1個で回復するんだ!」と、本人がいちばん驚いていました。
もうひとつ見落とされがちなのが、病み上がりです。子どもは気持ちの回復は早いのに、からだの回復は1週間近く遅れてやってきます。元気そうに見えても、夕方になると疲れが出てぐずる。これも「からだ由来」なんですね。
② 作戦かんしゃく ──「注目しないで待つ」
スーパーのお菓子の場面は、こちらかもしれません。「泣いて粘れば、最後は買ってもらえる」と学んでしまっているタイプです。
ここで「欲しかったね、悲しいね」となだめ続けると、実は「泣く」という行動に、ママの注目をたっぷり注ぐことになります。子どもの脳は、注目された行動を「うまくいく方法」として覚えていくので、泣くことがどんどん強化されてしまうんです。
ペアレントトレーニングのキーポイントとなるのが行動の肯定的注目です。私の書籍やこのtheLetterでも過去にご紹介しているのですが、まずは子どもの行動を三分類にわけて捉えること。①増やしたい ②減らしたい ③やめさせたい の3種類に分けるのです。そして、①の「増やしたい行動」は、当たり前にできていることをそのまま声に出してみていいもの。声に出す=肯定的に注目していることになります。(歯を磨いたね、靴をはいたね!みたいに)対極なのは、③の「やめさせたい行動」。これは、自傷他害・飛び出しなどの危険行動を指すので、注目している間もなくすぐ止める・上手に叱ること。そして、②の「減らしたい行動」は、 ③ほどでもない行動になります。今回で言うと「かんしゃく」は、なだめない、目を合わせない、でも見捨てない。ここで大事なのが、完全に無視するのではなく「リカバリーの道」を先に示しておくことです。
「泣いても、お菓子は買わないよ。お約束だもんね(事前に約束しておく)!さ!落ち着いてママのところに来てくれたら、おうちでおやつ食べようね」←ここは、ゴキゲンの口調でお願いします!
これだけ伝えたら、あとは待つ。気持ちには寄り添う、でも行動には寄り添いすぎない。 怒るのでもなく、ゆずらない線をやさしく示す。これが「リーダーシップをとる親」の姿です(そう、バウムリンドの4分類です!6月23日配信分でお話ししています)。
我が家の末っ子も、ショッピングモールのおもちゃ売り場の外で20分粘ったことがあります。正直、私も周りの目が気になって、何度も心が折れそうになりました。でも最後は自分から諦めて、「我慢したぜ」というドヤ顔で帰ったんです。あの顔は、負けの顔ではなく、成長の顔でした。
そして、いちばん大事なのはここ。泣き止みかけた瞬間が、ゴールデンチャンスです。
「あ、泣くの我慢して切り替えたのね!」「すごーい!」「大きな声で泣くのではなくママに優しくお話ししてくれてありがとう」のように、良い行動としてとらえ、
すかさず、笑顔とアイコンタクトでごきげんな顔で注目を返してあげてください。ここで注目するから、「泣く」ではなく「落ち着く(指示を聞く)」が強化されていきます。
③ もどかしさのかんしゃく ──「言い切りで寄り添う」
言葉がゆっくりな子に、とても多いタイプです。伝えたい気持ちはぐんぐん育っているのに、話す力が追いつかない。
私はよく、これを「フランス語の国に住んでいる私たち」に例えます。言われていることは、なんとなく分かる。でも、フランス語が話せないから返せない。分かるのに、言えない。そんな毎日だったら、大人だってイライラして当然ですよね。
ここで初めて、共感の言葉の出番です。ただし、「?」は封印です。
「共感のつもりがクエスチョン」になっていませんか
想像してみてください。私たち大人が泣いているときに、
「なんで泣いてるの?」「何かあったの?」「え、ちょっと待って、どうしたの?」
と畳みかけられたら、「ほっといてよ……」と思いませんか。「悲しいことがあったんだね」と言い切りで受け止めてもらえたほうが、ずっと楽なはずです。
もちろん大人なら、疑問形でも「寄り添おうとしてくれているんだな」と察してその優しさを受け止めることができます。でも子どもは違います。「?」がついた瞬間、それは共感ではなく質問として届きます。とくに、答えたいのに答えられない言葉がゆっくりさんにとって、かんしゃくの最中の質問は、責められているのと同じくらいつらいものなんです。
だから、語尾をほんの少し変えるだけ。
・「眠いんだよね?」→「眠いよね…」
・「あれが欲しかったの?」→「あれ、欲しかったね…」
・「どうしたの、何が嫌だったの?」→「悔しかったね…わかるよ!」
なんなら横で一緒に、「悔しいー!」と大きい声で言ってあげてください。私はいまでもやっています(笑)。
見分けられなくても、大丈夫
「うちの子、どれに当てはまるか分からない……」と思ったかもしれません。3つが混ざっていることも、よくあります。
完璧に見分けなくていいんです。いつ、どこで、何のあとに起きたか。それを少し観察して、「この子は今、どれだろう?」と一呼吸置く。それだけで、もう最良の対応が始まっています。
言葉にならなかった「伝えたい」の塊
私の長男も、言葉がゆっくりな子でした。伝えたいのに伝わらなくて、床にひっくり返って泣いた日が、数えきれないほどあります。
当時の私は、医者のくせに「どうしたの? 何が嫌なの?」と聞き続けていました。聞けば聞くほど泣き声が大きくなって、途方に暮れた夜もあります。
そんな長男は、いま中学生。びっくりするくらいよく喋ります。「中国のトイザラスで、現地の言葉でおもちゃを買いたいから」と、中国語まで独学中です。
あの頃のかんしゃくは、言葉になる前の「伝えたい」という気持ちの塊だったんだなと、いまなら分かります。
りえさん。かんしゃくは、あなたを困らせるためのものではありません。お子さんからの、まだ言葉になりきれていない、未完成のメッセージみたいなもの。
「親が先に変わることが近道」と、私はよくお伝えしています。でもそれは、「あなたが悪いから変わらなきゃダメ」という意味ではありません。関わりのコツを、ひとつ知るだけ。たとえば、今日からできるのは、「?」を「。」に変えること。それだけで十分です。
完璧じゃなくていい。うまくいかない日があって当たり前。そうやって試行錯誤しているあなたは、もう十分、いいママです。
秋の夜長、泣き疲れて眠った息子さんの寝顔を見ながら、今日のりえさんのこともちょっとだけ褒めてあげてくださいね。
ひとりじゃないよ。もう一度、一緒に、わが子を大好きになっていきましょう。
ママ友ドクター より
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P.S.2 なんとこのtheLetterは配信したつもりでしたが、下書きに残ってました、一週飛んでしまってごめんなさい。バックナンバーもあわせて読んでもらえると嬉しいです。
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ママ友ドクター 西村佑美
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