「息子の意見を聞けたことが自信になっています」肯定的な注目の大切さ~リアル子育てインタビュー~
📮 ママ友ドクターからの手紙 ── Vol.26──
Dear Parents,
皆さん、9月の長雨が終わったと思ったら、10月はずっと季節外れの夏日で身体が振り回される日々。インフルエンザも早々に流行していますが、みなさんの体調はいかがですか?」今週は月に1度のリアルな親子のストーリーをご紹介いたします。
そもそも私は、重度の自閉症の姉とともに育った経験や第一子の発達特性に悩んだ実体験と、発達支援・幼児教育・バイリンガル教育などを通じて得た学び、そして医学・心理学の知見を合わせて、大学病院の小児発達専門外来で多くの親子を支えてきました。
しかし、余命宣告を受けたあるママとの出会いが私を変え、「ママ友ドクター」という活動が始まることになりました。2020年1月、3人目の産休に入ったころのことです。2022年にオンラインコミュニティ「子ども発達相談アカデミーVARY(バリィ)」という場をつくりました。2023年にはGakkenから出版の機会をいただき、2025年には一般社団法人日本小児発達子育て支援協会を立ち上げました。
VARYには現在、36都道府県・9か国から参加があり、常時130名以上がメンバーとして在籍、卒業生も多くいます。医師が主宰する子育てコミュニティとしては、国内で最も大きな場になりました。2026年10月現在、11期生の募集を行っております。(公式LINEから受付中)
そんなVARYメンバーさんのリアルな子育てと、その成長の物語は、きっと多くのママたちの支えになる。そう感じて、1年前から本格的なインタビュー記事を配信するようになりました(メンバー同士でインタビューする形式です)。
theLetterでも、一部をお届けしています、どこかの誰かにこのリアルな体験談が、毎日を頑張るエネルギーにつながると信じているから。
なお、写真付きインタビューのフルVer.はぜひ、協会のホームページの【VARY web.】でもお読みください。
VARYとは英語のVary(変わる)、Various(多様な)、Variety(多様性)、Variation(豊富な変化)から来ています。
親子100組100通りのVariable(変化させることができる)な子育てと未来があるのです。
私は、あきらめない力・信じる力を一組でも多くの親子に届けたいと願っています。
「息子の意見を聞けたことが自信になっています」VARYで学んだ肯定的な注目の大切さ Interview#004
「発語が少なくて、何を考えているのかわからない……」
発達特性がある子を育てる親御さんの中には、お子さんの本音がわからず悩む方もいらっしゃるでしょう。しかし、発語が少なかったとしても、お子さんの表情や行動を観察し、丁寧な声掛けを通してお子さんの気持ちを知ることができます。
今回のインタビュー企画では、発語が少なかったお子さんと向き合うことで、本人も親も納得する進路選択ができたというHさんのお話を伺いました。ぜひ参考にしてみてください。
3歳6カ月頃。飛行機にはまっていたので、空港に見せに行ったそうです。=Hさん提供
いつもニコニコして手がかからない赤ちゃんでした
━━━小さい頃の息子さんの様子を教えてください。
(Hさん)私には2人の息子がいて、発達特性があるのは現在小学3年生の二男です。二男は臨月より早く生まれたこともあり、ハイハイをしはじめたのが1歳になる直前だったんですよね。ニコニコしているけれど、基本的に受け身な感じで、刺激を与えようと思い毎日児童館に連れていきました。でも、あんまり変化はなく。1歳前に小児科に相談しました。小児科で血液検査などをしましたが「異常はない」といわれ、私は安心しきってしまい……。
その後、1歳半検診があったのですが、その順番を待っている間に急に歩き始めたんですよ。それが本当に嬉しかったから、その嬉しさで1歳半検診は相談する感じではなくなりました。早く生まれて、体も小さくて、その心配の方が大きかったので、発達特性に気付くのは遅かったです。
体が小さいことに関しては、また電話しますと言われました。でも、何ヶ月かしたら、成長曲線に乗り始めたので、それで解決しました。
━━1歳半検診には積み木を積んだり、指差しをさせたりとかのテストがあると思うのですが、その時の様子はどうでしたか?
(Hさん)家で積み木を積む日もあるので、その日は少し調子が悪いのかな?という感じでテスト自体は終わりました。それより、当時の私は、体が小さいことを深刻に考えていました。
━━1学年差のお兄ちゃんもいらっしゃるとのことですが、発達の差みたいなところを感じなかったですか?
(Hさん)お兄ちゃんとは年子ですが、丸2歳離れています。次男は、2400グラムで生まれたのに対して、お兄ちゃんは3600グラムで、1.5倍ぐらいの差があり、スタート時点で違うという気持ちがありました。
━━━その後、どのようなタイミングで発達特性に気付いたのですか?
(Hさん)3歳1カ月検診でひっかかりました。担当の保健師さんに「この子、私の話を全然聞いてない」と言われてしまい……。言葉の少なさや、コミュニケーションの苦手なところを指摘され、その場で臨床心理士さんと繋がりました。
二男は1歳から保育園に通っていたのですが、すぐに保育園に園での様子を聞きに行きました。そうしたら「実は1人先生を加配ですでにつけている」といわれました。
ただ、ちょうど時短勤務からフルタイム勤務に仕事の時間がのびた時期だったので「やっぱり働き方を考え直した方がいいかな」と伝えたのですが、保育園の先生たちが「私たちがサポートするから大丈夫」と言ってくれたので、安心していました。
━━━ 3歳1カ月検診で、臨床心理士さんと繋がって、その後はどうなりましたか?
(Hさん)次の臨床心理士さんとの面談の時には、保育園の先生もついてきてくれて、私は別室にいたのですが臨床心理士さんに保育園での様子を丁寧に話してくれたようです。その後、もう1回その面談があった後に、病院の方に繋がりました。私が住んでる自治体と提携してる病院に繋がったのですが、診察を待つ期間がすごく長くて。3歳11か月ぐらいから、その病院のグループワークに参加して、4歳2カ月で発達特性があると診断されました。
━━━今までのお話だと、家とか保育園で困ったことはなかったのかなと感じましたが、実際にはどうでしたか?
(Hさん) そうなんです。おとなしいし、かんしゃくもなくて、いつもニコニコしていて、全部の成長がゆっくりっていう感じでした。発語はゆっくりでしたし、コミュニケーションの苦手さとか、目が合わないとかもありましたけど、自分の意思の表現が少し弱いと感じるくらいでした。
しかも、すごく保育園で可愛がられてたんですよね。年上のお兄ちゃんお姉ちゃんたちがなんでもしてくれてたらしくて。先生たちがなるべく手を貸さないようにっていってたそうです。
━━━療育などには通いましたか?
(Hさん)年長から病院の作業療法と児童発達支援に通い始めました。児童発達支援は週末だけ年長だけで構成されたクラスで小学校に向けてトレーニングしました。あと、年中の診断がついた後には、言語聴覚士さんのことばの教室に通ってました。
5歳4カ月 終わった後のウサギ餌やり楽しみに、ことばの教室に通っていました=Hさん提供
VARYに入って子どものことを観察する大切さを学ぶ
━━━佑美先生のことはどうやって知りましたか?そしてなぜ佑美先生に頼ろうとなったのですか?
(Hさん)佑美先生のことはインスタで見つけました。その時期、お兄ちゃんは健常で、弟は発達特性があって、道が分かれたみたいな感じでよく泣いていたんですよね。でも、そういう風に思うのは、二男に対して失礼だとも思い……。
そんな時に、 2022年5月10日の佑美先生のインスタに「なぜ日本の親は我が子の特性に苦しみがち?」という投稿があり、それを読んで「私は、これでいいんだ」と思えました。
当時、診断から1年ぐらい経って年長になった頃だったのですが、小学校進学に向けて何かできることはないかとずっと探していました。そんな時期だったので、佑美先生の運営しているVARYに興味が湧きました。ただ、メンバー募集をしていないタイミングだったので、次の募集を待ってその年の8月に入会しました。
━━━実際にVARYに入ってみて、どうでしたか?
(Hさん)入会してすぐに個別コンサルを利用しました。佑美先生はオンラインなのによく二男のことが見えていてびっくりしました。年長の運動会の後に、佑美先生に動画を送ったところ「この子は、言葉で人を楽しませたいのに、言葉が出ていない」と指摘されました。私としては、佑美先生は診断名を見てるのでなくて、二男自身を見てくれて、二男に合った対処法を教えてくれたのがすごく嬉しかったです。 リアルで会っているわけではないのに、なんでここまでわかるんだろうと思いました。だから、佑美先生が言ったことはなんでも取り入れて頑張ってみようと思い、佑美先生が教えている肯定的な注目や褒めることを始めました。
━━━褒めることを増やしてから、どんな効果があったか教えてください。
(Hさん)親子の関係が悪かったわけではありませんが、より良くなったと感じました。なにより、二男に注目する時間が増えたので、二男のことがよくわかるようになり、私自身の心が安定したのが1番大きかったです。
実は、二男が保育園最後の運動会が嫌だと作業療法士の先生に言ったらしいんですよ。それで作業療法の先生には「運動会が嫌なら、競技を半分に減らしたらどうですか?」と言われて……。佑美先生に相談したら「本人がなんて言ってるか、ちゃんと聞きなさい」と言われました。それで本人に聞いたら、言葉が少ないながらも嫌とは思ってないことがわかりました。結果的に運動会にも全部参加することができて、本人の気持ちを大事にできたっていうのが、本当によかったなと思いました。
本人の気持ちをしっかり確認した進路選択
━━━保育園での最後の運動会に本人の気持ちをしっかり確認しながら全部参加できて、本当よかったですね。
(Hさん)なんでも決めつけないで、本人の気持ちを尊重するのが大事なことだと思いました。だから、いま特別支援学級に通っているのですが、支援学級に入るのも本人に決めてもらいました。当時は言葉もあんまり出てませんでしたが、どっちがいいかと聞いて、本人が「人数が少ない方が良かった」と言ったので、支援学級に決めました。
でも2年生の時に「なんで僕は支援学級にいるのか?」 と聞かれたことがありました。その時に「あなたが最終的には決めたんだよ」と伝えたら、すごく落ち着いた表情をしたので、親の気持ちや親が環境を整えるのも大事だけど、本人の話を聞いてよかったと思いました。
佑美先生の元で子どもの姿に注目して、子どもの意見をきちんと聞く大切さを学べて、良かったです。
━━━小学校入ってからは、困ったことはあまりない感じですか?
(Hさん)家から小学校まで2㎞くらいあって、入学当初はお兄ちゃんがいるから集団登校で一緒に歩いていたんですけど、自分の靴が合わないと言って、6年生に学校までおんぶしてもらったことがありました。別の子は二男のランドセルと靴を持っていたのですが、お兄ちゃんの表情がすごく気まずそうで、私ももう少し考えないといけないなと反省しました。
その件があったので、バスで通っていたのですが、そのバスの路線が廃止になってしまって……。車で途中まで送っていくなどして、少しずつ距離を伸ばして歩く練習をして、2年生からは家から学校まで歩いて通えるようになりました。最初はペンギンの歩きだったんですが、普通に歩けるようになりました。
あと、登校時に、同じ地域の子が二男を見たら逃げるみたいなのがあったみたいで……。それを、2年の冬休みの前の日に学校の先生に相談したら、うちの子が名前をあげた子を呼んで、話し合いをしてくれました。その後、そんなことはなくなり、学校も一緒に問題解決方法を考えてくれるのがありがたいなと感じています。
━━━そんなに長い距離を歩けるなんてすごいです!他に成長してるなって感じるエピソードがあったら、教えてください!
(Hさん)バスケの習い事を始めたんです。もともとお兄ちゃんが入っていたスクールなんですけど、お兄ちゃんたちは高学年の子のクラスに移ったので、今は低学年だけでワイワイ練習できるいい時期だと思い、入会を決めました。 見学の時点で、みんなと一緒にやれたことに感激して、1人でこっそり泣いてしまいました(笑)
なにより、先生が素敵なんです。発達特性どうこうではなく、子どもの伸ばし方が上手なんですよね。例えば、最後の挨拶する時に二男がリュックを背負っていたのですが「荷物を下ろしてね」では伝わらなかったらしく「リュックを降ろして」と丁寧に言い換えてくれました。こんな感じなので、本人も困ることが少なく、すごく楽しそうに練習しています。
━━━みんなと一緒の行動ができたことにこっそり泣いてしまう気持ち、すごくわかります!やはり声のかけ方って大事ですよね。
(Hさん)そうですね。改めて、声のかけ方の大切さを感じました。ということもあり、佑美先生の元で、声かけを学べるのは本当にいいことだなと思っています。大人が声のかけ方を学んで、できるだけその子供の成長を促せるように手助けしていくのが大事です。
それに伴っていろんなことが突然できるようになったり、突然理解したりすることも経験してきました。例えば、年長の頃は、見る力が弱くて転がったミニトマトも見つけられなかったのですが、今は視野が広がって、掃除なども少しずつできるようになってきました。
━━━最後に、お子さんの発達特性に気づいて悩んでる親御さんにどんな言葉をかけたいですか?
(Hさん)小学校に入るまでは「なんでもっと早く療育に繋げなかったんだろう」と自分を責めることもありました。でも、小学校に入って、自分の力で友達を増やしてくるような姿を見ると、変えられない過去ではなく、今の子の姿を見ることが大切だなと感じます。不安だと先を見る気持ちにもなれないと思いますが、今と少し先を見ながら進んでいくってのが大事だと感じています。
あと、コミュニケーションのその技術は、遊びの中で育っていくと佑美先生もおっしゃっているので、私自身も足りなかったところですが、たくさん子供と遊ぶのが大事だと思います。やっぱり好きなことから伸びていくと実感していますので、本人が何を好きかを知るのが大事です。
例えば、二男は虫が大好きなんですが、虫を通して、本を読み、虫取りをすることで、目を鍛え、生き物を大切にするとか、そういうのも徐々に学んでいった感じがします。
特に発語が少ないと、その子の思ってることを掴むっていうのがすごく難しいと思いますが、そこを理解できるくらいしっかり子どもに向き合うことを意識していただけると良いのではないでしょうか。
(文:勝目麻希)
現在、私が代表を務める一般社団法人日本小児発達子育て支援協会認定のペアレントアドバイス講座を開催中。あわせて子ども発達相談アカデミーVARYの11期生も募集しています(どちらも10月30日まで)。
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