「担任の先生に相談しても、何も変わりません」(小2男の子ママより)

忙しい二学期に入り、行き渋りだけではない色んな悩みを抱えだす時期。勇気を出して伝えたのに、先生の対応は変わらないまま…。「うるさい親と思われそう」と悩むママに、ママ友ドクターはどんな伝え方と相談先を教えるのでしょうか?
ママ友ドクターゆみ先生(発達専門小児科医・西村佑美) 2026.10.09
誰でも

📮 ママ友ドクターからの手紙 ── Vol.24──

「担任の先生に相談しても、何も変わりません」(小2男の子ママより)

***

ようやく秋らしい晴れの日が増えてきて、ほっとしています。活動しやすい時期ですね、これから運動会など色んな行事が始まります。終わった学校もあるでしょうが、我が家の末っ子は来週末が運動会!そして、二学期中盤に向けて個人面談のお知らせもある時期でしょうか。

今日のお手紙は、「学校の先生に、どう伝えるか。どう相談するといいのか」のお話。実は先月、私が主宰する子ども発達相談アカデミーVARYでこのテーマの会を開いたら、過去にないくらいたくさんのママたちが集まりました。それだけ、みんながひとりで悩んでいることなんですよね。

***

ゆみ先生へ

小学2年生の息子のことで、ご相談させてください。

息子は年長のときに自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受け、通常級に在籍しながら週1回、通級に通っています。一斉の指示が入りにくく、切り替えにも時間がかかるタイプです。

1学期の個人面談で、担任の先生に息子の特性と、家で気をつけていることをお伝えしました。先生は「分かりました、気をつけて見ますね」と言ってくださったのですが、2学期になっても様子は変わりません。連絡帳には「今日も指示が通らず、みんなから遅れてしまいました」「ご家庭でも声かけをお願いします」と書かれていて、読むたびに胸がぎゅっとなります。

最近は息子も「また先生に怒られた。学校いやだ」と言うようになりました。

もう一度お話ししたいのですが、「うるさい親」「モンスターペアレント」と思われるのが怖くて、連絡帳に「申し訳ありません」と書くことしかできません。夫は「先生も忙しいんだから」と言います。

私の伝え方が悪かったのでしょうか。担任の先生に言っても変わらないとき、親はどうすればいいのか、誰に相談すればいいのか、教えてください。

しほ より

***

しほさんへ

お手紙、ありがとうございます。

連絡帳を開く前の、あのドキドキ。読みながら「わかる〜!」と声が出ました。わが家の末っ子も今年1年生。春は給食が不安で、毎朝泣きながら登校していたので、学校からの連絡にそわそわする気持ちは、まさに今の私のことでもあります。ましてや、長男が1年生だったときは…思い出すだけでも、当時の私に「毎週のように学校の先生との電話、よく頑張ったね」と伝えたくなります。(長男は、今では学校では周りの役に立つ係を率先しているほどに成長しております!!)

さて、まず、これだけは先に言わせてください。

しほさんの伝え方が悪かったわけではありません。勇気を出して面談で伝えて、家でも工夫して、連絡帳も毎日ちゃんと読んでいる。もう十分すぎるくらい、頑張っています。

そして、もう一度伝えるのは「うるさい親」のすることではありません。1回伝えただけで学校の対応がガラッと変わるほうが、実はめずらしいんです。

先生は「分かりました」と言ったのに、なぜ変わらないの?

私がいつもお伝えしている「行動には必ず理由がある」。これ、子どもだけでなく、大人・先生にも当てはまります。

学校の先生は、本当に忙しい。30人前後の子どもたちを一人で見て、給食のあとも座る時間がないほどだと聞きます。長い文章をじっくり読む余裕は、なかなかありません(これ、医者も同じです…笑)。

そして「気をつけて見ますね」という言葉。先生に悪気はないのですが、「いつ・何を・どうするか」が決まっていないので、忙しい毎日の中では、どうしても後回しになりがちです。

つまり、先生が冷たいからでも、しほさんの説明が足りなかったからでもなくて、「具体的に何をすればいいのか」が、まだ先生に届いていないだけかもしれません。

ここからは、できることを3つ、お伝えしますね。

① 「配慮してください」を「こうするとうまくいきます」に変える

「特性があるので配慮をお願いします」だと、先生は何をすればいいのか分かりません。伝えるのは、できないことではなく「こうするとうまくいく」という具体的な行動です。

たとえば、こんなふうに。

「家では、名前を呼んで目が合ってから話すと、すっと動けることが多いです。学校ではいかがでしょうか?」

「一度にいくつも言われると頭がいっぱいになってしまうようです。一つずつ短く伝えていただくか、紙に書いて見せていただけると助かります」

ポイントは、「こうしてください」ではなく「家ではこうしたらうまくいったのですが、学校ではいかがでしょうか?」と相談の形にすること。先生にもプロとしてのプライドがありますから、指示されるより、相談されるほうがずっと動きやすいんですよね。

それから、連絡帳の「申し訳ありません」は、今日で卒業しましょう!!

「すみません」を「ありがとうございます」に変えて、感謝→子どもの様子→具体的なお願い、の順番で書きます。

「いつも見ていただき、ありがとうございます。家でも声かけを続けています。全体へのお話の前に、名前を呼んでいただけると動きやすいようです。気になることがあれば、細かいことでも教えてください。家でも対応します」

お願いは、いちばん困っていることを1つか2つだけ。短く、でOKです。

ちなみに、先生がいちばん困ってしまうのは「学校で何とかしてください」と言われること。「家でも対応しますので、教えてください」のひと言があるだけで、先生はぐっと動きやすくなります。

そして、うまくいった日は必ず先生に報告してください。

「先日、名前を呼んでくださった日は『今日は早くできた!』と嬉しそうでした。ありがとうございます」

子どもと同じで、先生も、責められるより「できたこと」に注目されたほうが続けやすい。私の本でお伝えしている注目ほめ習慣(肯定的注目)は、実は大人にもよく効きます(笑)。

② 担任の先生で止まったら、相談先を変えていい

それでも変わらないこと、あります。先生との相性だってあります。そんなときは、担任の先生だけを相手に頑張り続けなくて大丈夫です。

長年スクールカウンセラーをしていた友人の公認心理師が、学校の「内側」を教えてくれました。校内には、担任の先生以外にも相談できる人がいます。

・学年主任の先生

・保健室の先生(「家でお腹が痛いと言っていて…」という相談から入ってもOK)

・特別支援教育コーディネーターの先生(公立の小・中学校なら、まずいらっしゃいます。診断がなくても相談できます)

・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー

しほさんの場合は、通級の先生も味方になってくれるかもしれません。

それでも進まなければ、教頭先生や校長先生へ。「直接お電話していいものか悩んだのですが…」と前置きすれば十分です。校長・教頭を経験した先生たちは、「保護者がずっとモヤモヤを抱えているくらいなら、直接電話していいんだよ」と話していたそうですよ。

さらに、学校の外にも相談先があります。お住まいの市区町村や都道府県の教育委員会には、「教育相談室」「教育相談センター」といった窓口があります(名前は自治体によって違います)。相談した内容が、こちらの了解なしに学校へ伝わることは基本的にありません。必要なら、専門の相談員さんが学校と保護者の間に入って、一緒に整理してくれることもあります。

外に相談するのは、大ごとにすることでも、先生の告げ口をすることでもありません。息子さんを支えるチームの人数を、増やすことです。

親がひとりで学校とやり取りを続けていると、「どうしてこんなに壁が厚いの?」と、本当にすり減ってしまいます。そうなる前に、頼ってくださいね。

③ それでも進まないときは、「書面」という方法がある。1~2枚の書面にしてお渡しするのがおすすめの場合もあります。

障害者差別解消法という法律で、学校には「合理的配慮」の提供が義務づけられています。公立の学校はもちろん、2024年4月からは私立の学校や園も同じです。

口頭でお願いしても進まないときは、校長先生宛てに「こういう理由で、こういう配慮をお願いします」と書面で出すことができます。学校は書面を受け取ると動きやすい、という面もあるそうです。「合理的配慮 申請書 ひな型」などで検索すると参考になるものが見つかりますし、大学の書式も分かりやすいですよ。

ただ、全部がそのまま叶うわけではありません。この制度のキーワードは「建設的対話」。「やってください」「無理です」とぶつかるのではなく、「この学校では、ここまでならできそうですね」という落としどころを、一緒に探していくイメージです。

うまくいかないからと、泣き寝入りしなくていい。そういう道もある、と覚えておいてくださいね。

「この子はちゃんと分かっていますよ」と言ってくれた先生

長男が幼稚園に入るとき、入園面接でお断りされたことがあります。小児科医なのに、その場では何も言い返せなくて、帰り道はただただ悔しかった…。その後、「話せなくても、この子はちゃんと分かっていますよ」と見てくれる先生に出会いました。先生がひとり変わるだけで、子どもの毎日はこんなに変わるんだ…と驚いたのを覚えています。

当時の入園面接を担当した先生に、今の成長した長男を合わせたいくらいです。

学校の中にも外にも、味方になってくれる人はきっといます。見つかるまで、あきらめないでほしいです。

■最後に

しほさん。息子さんは「指示が通らない子」ではありません。「目が合ってから、一つずつ伝えれば、ちゃんと動ける子」です。

私がいちばん避けたいのは、特性そのものよりも、分かってもらえないまま怒られ続けて、「どうせ僕はダメなんだ」と自信をなくしてしまうこと(二次障害といいます)。だから、しほさんが学校に伝えようとしているのは、わがままでも過保護でもなく、息子さんの心を守る大切な一歩だと私は思います。

先生と親は、向かい合って戦う相手ではなくて、子どもを真ん中にして並ぶ仲間。そうなれるように、まずは次の連絡帳を「ありがとうございます」から始めてみてください。

全部を一度にやらなくて大丈夫。完璧じゃなくていいんです。

秋の個人面談で、しほさんが少しだけ肩の力を抜いて、先生の前に笑顔で座れますように。

ひとりじゃないですよ。

ママ友ドクター より

***

P.S.
次回も、私のもとへ届いたママたちの悩みにお返事を書く形で、子育てに役立つコツや話をお届けしていきます。
次回のお手紙もお楽しみに。

なお、現在、私が代表を務める一般社団法人日本小児発達子育て支援協会認定のペアレントアドバイス講座を開催中!あわせて子ども発達相談アカデミーVARYの11期生も募集しています(どちらも10月30日まで)。
▶ https://peatix.com/event/5185819

P.S.2
今回は【学校・先生との連携】関連のお手紙でした。8月27日の「夏休み明け、行き渋りが怖いです」も参考になるはず。バックナンバーもあわせて読んでもらえると嬉しいです。

📮 バックナンバーはこちら
▶ https://mamatomodoctor.theletter.jp/

***

📮 このメルマガを気に入ってくれたら

毎週のお手紙を応援してくれる方は、サポートメンバー登録をお願いします。今後、私の本音コラムや私生活の話は、サポートメンバーの方だけにお届けしていきます。

***

💬 公式LINE|相談会・ランチ会などの最新のお知らせが一番早く届きます
▶ https://lin.ee/BYf1zci

📷 Instagram|写真や日常はこちら
▶ https://www.instagram.com/mamatomo_doctor

🌱 子ども発達相談アカデミーVARY|「ひとりでぐるぐるしちゃう」そんなママ・パパへ
▶ https://www.cdpsa-japan.net/vary/

📚 著書「発達特性に悩んだらはじめに読む本(Gakken)」
▶ https://amzn.asia/d/bJuZYCq

🌟 その他のSNSはこちら
▶ https://lit.link/doctornishimurayumi

***

♪ 白衣を脱いで待ってます、お話ししましょう。

ママ友ドクター 西村佑美

無料で「ママ友ドクターからの手紙 ~Dear Parents~」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
「息子の意見を聞けたことが自信になっています」肯定的な注目の大切さ~リ...
誰でも
AIで書いた返信「完璧なやさしさ」に私が寂しくなった理由~効率化しては...
誰でも
「優しく声をかけるほど、息子のかんしゃくがひどくなるのはナゼ?」(4歳...
誰でも
「うちの子『ごめんなさい』が言えません」(小1男の子ママより)
誰でも
「スーパーで走り回って商品をさわる息子。買い物が苦行です」(3歳男児)...
誰でも
「夏休み明け、行き渋りが怖いです」(6歳年長女児)
誰でも
「夏休み、睡眠がバラバラで親子でボロボロ…」(5歳年長女児のママより)...
誰でも
「みんなと違う」は恥ずかしいことじゃない。孤独な育児を変えた“視点の転...