「夏休み、睡眠がバラバラで親子でボロボロ…」(5歳年長女児のママより)

夏休み終盤戦、睡眠時間に悩むママさんからのご相談のお手紙にママ友ドクターからお返事が届いています。
ママ友ドクターゆみ先生(発達専門小児科医・西村佑美) 2026.08.19
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📮ママ友ドクターからの手紙 ── Vol.14

「睡眠がバラバラで、親子ともにボロボロです」(5歳年長女児)

ママ友ドクターからの手紙 〜Dear Parents〜|2026年8月19日

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お盆休みが終わりました。夏休みもあと2週間を切りました。

8月の夕暮れ、ベランダからお祭りや花火の音が聞こえ、面白いテレビや映画、子どもの寝る時間がまた30分、30分と後ろへ……。夏は昼が暑くて活動が制限される分、夜は楽しい誘惑でいっぱいですね。もちろん、私の子供たちもどんどんどんどん寝る時間が後ろに…(苦笑)

さて、今日は、5歳・年長の女の子を育てるのぞみさんからのお悩みにお返事します。夏休み終盤戦、「うちも生活リズムが総崩れです」という御家庭に向け、立て直しのコツを手紙にしてお届けします。

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ゆみ先生へ

5歳・幼稚園年長の娘のことで相談させてください。

夏休みに入ってから、娘の睡眠が完全にバラバラになりました。夜は22時、23時になっても目がらんらんとして眠らず、朝は起こしても起きない。かと思えば、夕方にうとうと寝てしまって、その夜はさらに眠らない。悪循環です。

寝不足のせいか、日中の癇癪もぐっと増えました。もともと療育の先生に「感覚に敏感なところがある」と言われていて、寝つきは赤ちゃんの頃からよくないほうでしたが、ここまで崩れたのは初めてです。

私自身も、娘が寝たあとにやっと家事を片づけて、深夜にようやく自分の時間……という生活で、慢性的に寝不足。朝から親子でイライラして、些細なことで娘を怒鳴っては落ち込んでいます。このままでは2学期が始まっても戻せる気がしません。どこから手をつければいいのでしょうか。

のぞみより

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のぞみさんへ

お手紙、ありがとうございます。

夜は眠らない、朝は起きない、夕方に寝落ちして、また夜眠らない——この無限ループ、書いているのぞみさん自身がいちばん「分かってるのに止められない」と歯がゆい思いをしていますよね。そしてやっと寝て深夜にやっと訪れる自分の時間だけが、心の癒しタイムになっている。その時間を「早く寝なきゃいけないのに」と罪悪感つきで過ごしているとしたら、切なすぎます。

まず、これを言わせてください。

夏休みに生活リズムが崩れるのは、親の管理が甘いからではありません。

日は長い、外は暑くて日中に体力を使いきれない、花火にお祭りに帰省にと「夕方以降に」興奮するイベントが続く——夏は、世界中の親子のリズムが崩れる季節なんです。しかも娘さんはもともと感覚に敏感で寝つきに時間がかかるタイプ。崩れる条件が全部そろっていたのだから、崩れて当然。のぞみさんの負けではありません!

体内時計は、放っておくと「後ろにずれる仕様」

ここで、仕組みの話をひとつ。私たちの体内時計は、実はぴったり24時間ではなく、24時間より少し長めにできています。つまり、何もしなければ毎日少しずつ夜型にずれていくのが、人間の仕様なんです。それを毎朝リセットしてくれるのが、朝の光と朝ごはん。夏休みで登園がなくなり、朝のリセットが弱まると、時計は仕様どおり、するすると後ろへずれていきます。娘さんの意志の問題でも、しつけの問題でもないんですね。(ちなみに、昼夜逆転した人をそのまま観察し続けるとだんだんまた朝起きられるリズムになっていく...という研究結果も知られています。人間って面白いですね!)

そしてもうひとつ大事なことをお伝えします。増えた「癇癪」の真犯人は、あるいはのぞみさん自身のイライラが増えたのは、性格ではなく、特性ではなく寝不足です。睡眠が足りないと、前頭葉という感情にブレーキをかける脳の働きが落ちて、些細なことで爆発しやすくなります。これは子どもも大人も同じ。朝から親子でイライラするのは、ふたりとも脳がガス欠を起こしているから。「私たち、最近性格が悪くなった」のではなく「私たち、寝てない」——まず、そう捉え直してください。それだけで、責める気持ちが少し軽くなりませんか。

立て直しの3ステップ——直すのは「夜」ではなく「朝」

① 朝を固定する。夜は追いかけない

「早く寝かせなきゃ」と夜側から直そうとすると、たいてい失敗します。眠くない子を布団に押し込む戦いは、親が消耗するだけ。直すのは朝です。

起こす時刻を、普段の登園日プラス2時間以内に固定してください。体内時計の研究から、普段との差が2時間以内なら休み明けに修正が可能、2時間を超えて常態化すると立て直しがぐっと大変になることが分かっています。「7時に起きられれば満点、9時までなら合格」くらいの幅で大丈夫。

起こしたら、カーテンを全開にして朝の光を浴びせ、朝ごはんを食べさせるか、せめて何か飲ませてあげてください。これで胃や腸管への刺激のブースター付きで体内時計のリセットボタンが押されます。朝さえ固定できれば、夜の眠気は数日遅れで、自然についてきます。一気に戻そうとせず、ずれてしまった分は15分ずつ前倒ししていけば十分ですよ。

② 寝る前1時間は「減光タイム」——敏感な子ほど、儀式が効く

感覚に敏感な子は、脳の興奮が鎮まるまでに時間がかかります。だから、寝る直前ではなく、1時間前から着陸態勢に入りましょう。(理想は2時間前から)

部屋の照明を少し落とす。テレビや動画の画面は見ない。(画面の光は体内時計に「まだ昼だよ」と誤情報を送ります)。そして、お風呂→歯みがき→絵本タイム→電気を消す、のように毎晩同じ順番で進める。見通しが立つと安心できる娘さんのようなタイプには、この「入眠の儀式」がとてもよく効きます。

そして、ここが大事。「眠ること」を目標にしないでください。眠りは命令では出てきません。目標は「布団で横になっていること」まで。横になれていたら、「お布団に入れたね」と実況中継で認めてあげれば十分です。眠れない娘さんを前に「早く寝なさい!」と声を荒げるほど、興奮して眠りは遠のく——この悪循環だけは、避けましょう。せっかくの親子並んだお布団タイム。しかも、あとほんの数年しか続かないもの。だから、○○しなきゃならないのに!SNS返信したい!という気持ちを後回しにして、割り切って楽しんでもらえたらと思います。

③ 夕方の寝落ちをブロックし、朝の涼しいうちに体を動かす

夕方のうとうとは、夜の睡眠をまるごと持っていく大泥棒です。16時以降に眠そうになったら、お風呂に早めに入れてしまう、ベランダで水遊びをする、おやつタイムにするなど、体を起こす手を打ってください。

その代わり、朝の涼しい時間帯(理想は9時前)に、公園でも水遊びでも散歩でもいいので、体を動かす時間を。朝の光と運動のダブル効果で時計が整い、夜の眠りも深くなります。暑すぎる日は、室内で布団の上をゴロゴロ転がるだけでも、風船バレーでも構いません。

そして、のぞみさん自身の睡眠のこと

「親子ともにボロボロ」と書いてくれましたね。ここ、素通りできません。

深夜のひとり時間が生命線なのは、痛いほど分かります。私も、スマホで時間を溶かす経験は何度もありますから…でも、今は非常時。娘さんと一緒に、少しでも今より早い時間に寝落ちしてしまう日を、週に何日か作ってください。家事は明日の朝の自分に託していい。洗い物が残ったシンクより、眠れてスッキリしてゴキゲンなお母さんのほうが、家庭にとってお子さんにとって何倍も価値があります。

私が普段心掛けている「親が変わることが優先」は、こういう場面では「親が寝ることが優先」です。お母さんの睡眠が戻ると、同じ癇癪を見ても「はいはい、寝不足だね」と受け流せるようになるものです。子どもを変える前に、まず自分の脳にガソリンを入れてあげてください。

冒頭で白状した通り…わが家も夏は毎年リズムが崩れます。3人それぞれの就寝時刻がドミノ倒しになって、気づけば私が誰よりも夜更かししていることも。小児科医の家でも、こうです。だから、完璧な夏の時間割なんて、目指さなくていいんですよ。

2学期の戦いは、睡眠から始まります

最後に、少し先の話を。夏休み明けは、子どもの心がいちばん揺れやすい時期です。「学校に行きたくない」の背景に、実は単純な睡眠不足が隠れていることが、本当によくあります。逆に言えば、睡眠を整えることは、夏休み明けの娘さんの心を守る準備そのもの。今日から15分ずつ朝を戻していけば、始業式には間に合います。焦らなくて大丈夫。

夜眠らない娘さんに、ため息が出る夜もあるでしょう。一緒に寝落ちして、洗濯物が朝まで干しっぱなしの日もあるでしょう。それでいいんです。完璧じゃなくていい。

まずは明日の朝、カーテンを開けるところから。親子で朝の光を浴びて、「今日も暑いね!!」と笑えたら、その日はもう合格です。

残暑厳しき折、のぞみさんの夜に、少しでも早く、深い眠りが訪れますように。

ママ友ドクター ゆみせんせいより

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P.S. 次回も、私のもとへ届いたママたちの悩みにお返事を書く形で、子育てに役立つコツや話をお届けしていきます。 次回も夏にちなんだ内容です。楽しみに。

バックナンバーはこちら ▶ https://mamatomodoctor.theletter.jp/

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♪ 白衣を脱いで待ってます、お話ししましょう。

長期休みは常に遅寝リズムになりがちな元気な西村家の子どもたち

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