「白衣を脱いでママ友ドクターになるまで」第2回 燃えた学生時代から小児科医の恩師に出会うまで

今回も、バースディ月間の特別連載です。幼少期と海外生活を終えた後から続く、燃える学生時代から医師になって恩師に出会うまでの話です。初回が好評だったため、特別連載は3回で終了ではなく複数回に分けてお届けいたします(^^)
ママ友ドクターゆみ先生(発達専門小児科医・西村佑美) 2026.06.16
誰でも

📮 ママ友ドクターからの手紙 ── 特別連載第2回

「白衣を脱いで——ママ友ドクターになるまで」 第2回 燃えた学生時代から小児科医の恩師に出会うまで

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Dear Parents、

特別連載「白衣を脱いで——ママ友ドクターになるまでの話」第2回です。

第1回目では、重度自閉症の姉と育った幼少期のこと、ブルガリアでの経験のことを書きました。まだ読んでいない方は、バックナンバーからぜひ。

📮 バックナンバーはこちら https://mamatomodoctor.theletter.jp/

今回は、私が医師を志したきっかけ、萌えざるを得なかった学生時代と恩師に出会うまでのころをお話しします。

「医者になろう」と決めた夜

医者になることを最初に意識したのは、中学2年生の時でした。

当時演劇部だった私は、学校の三者面談で「将来は何になりたいの?」と聞かれ、「安達祐実のような女優になりたい」と本気で答えたときの先生の驚いた顔を、今でも覚えています(笑)

現実派の母に「もう少し地に足をつけて考えなさい」と諭されました。

確かに、絶世の美女でもなければ田舎にいた私が女優になる夢なんて…非現実的。

それよりも、困っている人を放っておけず、おせっかいをしたがる自分の性格を活かせる夢は何だろう。

そう考えた時、やはり医学の知識を身につけて医者になれば、病気で困っている人を助けられる…そうぼんやり思えました。

でも実はその頃、もうひとつ、心の奥に刻まれていた光景がありました。

姉の主治医のことです。

私が中学生でブルガリアから帰国してしばらくたったころ、将来を見据えて姉が安心して暮らせる先を母が一生懸命さがすようになりました。そこで、障害者のための成人施設に入所したのですが、当時、まだ思春期でますます反抗的になった姉は、施設の方針で(とういか施設の嘱託医の方針)鎮静剤を1日3回服用させられるようになりました。私が高校生の頃のことでした。薬を飲むと眠くなってしまうからか、姉は服用を強く拒否していました。

自宅にいる週末は薬を飲まずに過ごすと、日曜日には落ち着いて、すっきりした表情になる。

母はその様子を見て確信していました。

「娘が暴れてしまうのは、薬のせい」だと。

けれど何度訴えても、主治医は聞いてくれませんでした。

自閉症の衝動性を抑えるには薬を服用するしかないとの一点張りで、家族の声に耳を傾けようとしない日々が、何年も続きました。

目の前の母がこんなにもSOSを出しているのに、なぜ寄り添ってくれないのだろう。

私は悔しくて、怒りがわいてきました。

すでに医学部に進学することは心に決めていました。

でも、どんな医師になるかまではイメージできていませんでした。

ただ、ある日、私は心に決めました。

絶対に、障がいを持つ本人とそのご家族にいちばん寄り添う医者になる。

高校2年生の時のことでした。

今でもその瞬間を覚えています。

怒りと共に、私の心に決して消えることのない炎が燃え出した気がしました。

宮城県第一女子高校(現 宮城県第一高校)で、自由な表現力と規律と協働を学んでいたころ(体育祭は仮装大会)

宮城県第一女子高校(現 宮城県第一高校)で、自由な表現力と規律と協働を学んでいたころ(体育祭は仮装大会)

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いのちの重みと、小児科医として生きる決意

浪人生活を経て医学部に入り、演劇部とダンス部と空手部をエンジョイした学生時代を経て(空手は黒帯です!!)初期研修医としてさまざまな科で実践を積む中で、私には小児科が合っていると感じていました。病気を乗り越え元気に退院していく子どもたちを見ると、毎日仕事をしながら希望を感じることができたから。

幼い入院患者さんが危険な病態になると、「絶対に助ける、あきらめない」という強い気持ちが内側からあふれ出てくるのが、自分でもわかりました。

そこで小児科医の研修医として大学病院に就職後は、小児がんや白血病などのお子さんや、そのご家族とも出会いました。最善を尽くしても、助けられなかった命もありました。

「この子を助けてください!」「心臓マッサージをやめないで!」

0.1%でも可能性がある限りあきらめない。一縷の望みがこめられた、親御さんの悲痛な叫びを、幾度となく聞きました。

子どもが健康で生きている。本当にただそれだけでいい。それだけで奇跡のような、素晴らしいことなんだ。

頭ではわかっていたことですが、いのちの重みを痛いほどに実感する日々でした。

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恩師・平岩先生との出会い

小児科医局に入局した懇談会で、私は初めて自分の志を言葉にして上司に伝えました。

「小児科医として、自閉症や心のケアが必要な子どもや親のサポートがしたいです。特に親御さんに寄り添う仕事がしたいんです!」

すると上司はポカンと呆れた顔をして、はっきりとした口調でこう言い放ちました。

「それは、医師の仕事じゃない」

ただただ、大きなショックを受けました。重度自閉症の姉を家族に持つ当事者として、受け入れがたい言葉でした。

この先生とは、思いを分かち合うことができない。ここでは誰からも学べない。

でも、こんなことであきらめるわけにはいきません。病院で学べないなら個人でやるしかないと、発達関係の学会や会合に積極的に顔を出すことにしました。

そして入局して3か月目、大阪で開催された思春期学会で、運命的な出会いをすることになります。

恩師・平岩幹男先生です。

当時、小児科と小児神経科の専門で、自閉症などの発達外来の第一人者だった先生。親の目線に寄り添い、発達特性を持つ子どもたちの成長について「絶対に諦めない」と、前向きなスタンスを徹底的に貫いていた方でした。

講演後、私はすぐに初対面の平岩先生に質問しました。

「発達特性のある子どもたちに、例えば白いキャンバスに絵を描かせる場合、医師はどういうスタンスでサポートすればいいでしょうか。絵具と筆を持つのをどこまで手伝うべきなのでしょうか」

すると先生はこう言いました。

「とりあえず自由に描かせてみたらどうですか?あれこれやってあげないと、と気負わずに。子どもは大人が思っているよりずっと、自分で成長できるんですよ」

目から鱗が落ちました。

絵筆や絵の具を指示する必要は一切ない。過剰なアドバイスは不要、見守り、成長を信じるスタンスが大事なのだ。

それはまさに、私が実現したいと願っていた医師としての寄り添い方そのものでした。それまでの私は、発達特性を持つ子どもたちに対して、どこか「特別な心持ちでサポートしなければならない」という先入観を持ってしまっていたと気がつきました。

私のそれまでの接し方は、子どもたちの可能性を狭めていたのだ。

激しく心を揺さぶられた私は、平岩先生のもとで学ぶことを決意。毎月のように先生が出席される学会発表や勉強会に参加し、学びを深めていきました。

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P.S

次回の配信は、「ママ友ドクターからの手紙(発達相談)」シリーズに戻ります!

ママ友ドクターからの手紙シリーズとテーマ別連載コラムの交互配信の形にしていきますね。

なお、コラムのテーマは、「AI時代と子育て」か「白衣を脱いで__ママ友ドクターになるまで」のどちらかをお届け、お楽しみに。

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白衣を脱いで待ってます、お話ししましょう。

ママ友ドクター 西村佑美

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