「宿題をやらせるだけで毎日戦争です(小2ママ)」
📬 ママ友ドクターからの手紙 ── Vol.04
「宿題をやらせるだけで、毎日戦争です」
ゆみ先生へ
小学2年生の男の子のママ、ひろこと申します。
息子の宿題のことで、ずっと悩んでいます。
帰宅してすぐ宿題をやらせようとすると、「あとで」「ちょっと待って」が始まって、気づいたら1時間が過ぎています。やっと机に向かわせても、ちょっと間違えただけで「もうやりたくない!」と鉛筆を投げる。問題を説明しようとすると、ぼーっとして全然聞いていない。
怒鳴りたくないと思っているのに、毎日同じことの繰り返しで、最後は私が先にキレてしまいます。「この子、本当に勉強できるようになるのかな」と不安になって、自分も落ち込んでしまいます。何かいい方法はありますか?
ひろこ より
ひろこさんへ
お手紙、ありがとうございます。
「毎日戦争」という言葉、すごくよくわかります。
宿題って、たった30分、いや10分とかのことなのに、なぜあんなに消耗するんでしょうね。ひろこさんが落ち込むのは当然だし、毎日それをやり続けているあなたは、本当によく頑張っています。
まず一つ、知っておいてほしいことがあります。
「ちょっと待って」と先延ばしにするのは、怠けているのではありません。
お子さんのタイプにもよりますが、発達特性のある子にとって、「楽しいこと→やらなければいけないこと」への切り替えは、大人が思っている以上に脳にとって負荷のかかる作業です。脳が「まだこっちに集中していたい」と抵抗しているんです。だから「意志が弱い」「だらしない」ではなく、「切り替えに時間がかかる脳のつくり」なんだと受け取ってあげてください。
そもそも、程度の差はあれ、多くの子どもたちに当てはまります。気持ちの切り替えって、実は大人にとっても簡単じゃないですよね‥ね? 私もついショート動画を夢中になってみてしまうこともあります。子どもたちが「あとで」と言うのは、それだけ正直な気持ちを話してくれている状態とも言えます。
では、どうするか。一番効くのは、「順番を変えること」です。
帰宅してすぐ宿題、ではなく、帰宅したらまず少しだけ好きなことをさせてあげる。そして「好きなこと」が終わるタイミングで次の行動に移す。「楽しいことからやらなければいけないことへ」ではなく、「楽しいことが終わった後に、次のことへ」という流れにする。これだけで、ぐっとスムーズになることがあります。
「宿題が終わったらテレビ30分ね」よりも、「学校でいちばん面白かったこと教えてくれたら、おやつ食べながら一緒にやろう」のほうが、息子さんの脳には入りやすいかもしれません。「ゴール→ご褒美」ではなく、「一緒に→楽しみながら」という組み立てが、切り替えが苦手な子には合いやすいんです。
もう一つ試してほしいのは、宿題を始める前に「今日は何ページ?」と一緒に確認するだけの儀式を作ること。「内容を把握する→終わりが見える→やれる気がする」という小さな安心感が、机に向かうハードルを下げます。終わりが見えない作業って、大人でも怖いですよね。それは子どもも同じです。
間違えたとき、鉛筆を投げてしまうことについて。
これも「くやしさを言葉にできない」ことが多いんです。
間違いを指摘されると、「自分が否定された」と感じてしまう子がいます。特に自己肯定感がまだ育ち途中の子は、間違いイコール「自分はダメだ」に直結しやすい。だから鉛筆を投げたり固まってしまうのは、プライドが傷ついているサインです。
そういうとき、問題の説明をするより先に、一回そっと「くやしかったね」と言ってあげてみてください。説明は感情が落ち着いてから。感情的になっているときの脳には、どんな正しいアドバイスも入っていかないんです。
研究でも分かっていることなんですが、子どもたちは言葉で気持ちや感情をうまく表現できないと、嫌だな・イライラするという気持ちが手を出すことや癇癪につながりやすいんです。だから普段から、落ち着いた時間に「くやしい」「もうやだ」「難しい」という言葉を一緒に練習しておくと、宿題中のパニックが少しずつ減っていきます。「あの時みたいにくやしかったんだね、そういう時は『難しい』って言っていいよ」という声かけの積み重ねが、じわじわ効いてきます。 この、感情や気持ちを言葉にする練習って、小さいうちからコツコツと続けることが本当に大事なのです。
発達特性に合わせた勉強のコツ、いくつかお伝えしますね。
① 一度に全部やらせない
「宿題全部やってから褒める」ではなく、「まず算数の1問だけ」からスタートする。1問できたら「できた!」という成功体験が生まれて、次に進みやすくなります。子どもは小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感が上がり、やる気につながっていくので、量より「一回やり切った」という感覚がとても大事です。
② 問題を解いている最中は、実況中継してあげる
「鉛筆を持ったね」「問題を読んでるね」「2問目に行ったね」——これだけでいいんです。褒めなくていい。子どもがやっている行動をそのまま声に出してナレーションするだけで、褒められたのと同じ効果があることが分かっています。「見てもらえている」という感覚が、子どもの集中を助けます。 (肯定的注目です)
③ 正解・不正解より「やった」を認める
5問中3問しかできなかった日も、「3問やり切ったじゃん」で終わっていい。完璧にやらせることより、「机に向かえた自分」を積み上げることのほうが、長い目で見てずっと大事です。
④ 指示は短く、目を見てから
「宿題やって」「早くして」「ちゃんと聞いてる?」のように言葉が重なると、処理が追いつかなくなる子がいます。目が合ってから指示を出す習慣をつけると、言葉がずっと入りやすくなることが分かっています。「こっち見て。宿題、やろうか」これだけ。短く、目を見て、一つだけ。
⑤ 間違いの指摘は「一緒に直す」スタイルで
「ここ違うよ」ではなく「ここ、どうだったっけ?一緒に見てみよう」という声かけにするだけで、子どもの受け取り方がぜんぜん違います。先生と生徒ではなく、一緒に解くチームになるイメージです。
「怒鳴ってしまう自分」について、少し話させてください。
「叱る」と「怒る」は全然違います。叱るは子どものために落ち着いて伝えること。怒るは大人側の感情が溢れ出した状態です。「怒」という漢字の下には「心」がありますよね。感情が入ってしまった瞬間、それはもう「怒り」です。
怒鳴ってしまうのは、ひろこさんの意志弱いからじゃない。毎日同じ消耗戦を繰り返して、心が限界に近づいているサインです。怒ってすっきりすることはあっても、子どもには「怖かった」という記憶しか残らないことが多い。だから同じことが繰り返される。そのループを断ち切るには、怒鳴らないようにがんばるよりも、怒鳴らなくて済む仕組みを作ることのほうが早道です。
先ほどお伝えしたような「順番を変える」「実況中継する」「短く目を見て指示する」のような小さな工夫が積み重なると、ひろこさんが怒鳴らなくても回る時間が少しずつ増えていきます。
最後に一つだけ。
子どもの行動には必ず理由があります。ただママを困らせたくて暴れているわけじゃない。それを知っているだけで、声かけは自然と変わっていきます。
毎日戦争していたひろこさんが、今日から少しだけお子さんの宿題という試合を「観戦」できるようになりますように。
ママ友ドクター より
P.S.
次回も、私のもとへ届いたママたちの悩みにお返事を書く形で、子育てに役立つコツや話をお届けしていきます。
次回のお手紙は、「怒鳴ってしまった後の自己嫌悪をなんとかしたい」というママに向けたお返事です。お楽しみに。
P.S.2
今回は【宿題・勉強の切り替え】関連のお手紙でした。バックナンバーも、きっと参考になるはず。まだ読んでいない方はこちらから読んでね!
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